基本計画

(1)計画の前提
下記は一般的な公園を設計する時の前提条件の洗い出し項目になります。
設計者は、ここで、大まかな構想を描いていきます。

1)前提条件
①与条件
●地区公園として休息、鑑賞、スポーツ、遊戯などのレクレーション機能を充実させます。
●21世紀にふさわしい施設展開を行います。

②立地条件
●千葉県M市の中心市街地に位置します。
●計画地周辺には、住宅地、商店街、学校等の施設が集中しています。

③敷地特性
●南北150m、東西240mの面積約3.6haを有しています。
●おおむね平坦です。

2)整備課題
①立地条件からの課題
●中心市街地に位置することから住民のコミュニティー空間を確保します。
●幅広い年齢層が利用できる明るく、安全な公園とします。

②敷地特性からの課題
●敷地が平坦であるため、樹木や築山等で敷地に変化を持たせ、
来園者に楽しんでもらえるようにな整備を行います。

(2)計画方針の設定

次に(1)の前提条件を踏まえ、計画の方針、導入施設の検討を行います。
計画方針や導入施設は、時代の流れで変化するものです。設計者は、世の中の動向にアンテナを張っていることが大切です。

1)計画の方針

①国民の余暇活動
15年前のバブル経済の頃は、一般的に国民の余暇活動は、海外旅行、高級グルメ等高費用
型あるいは法人重要型でした。しかし、バブル経済崩壊後、国民の余暇動向は次第に変化し、
今では、「近く」「安く」「楽しい」型のレジャーに移行しています。したがって、本公園にも手軽に
遊 べる空間づくりが必要です。

(キーワード)  ・手軽な余暇空間

(空間構成)  ・運動広場 ・ちびっ子広場

②公園整備に関する社会的動向
新しいライフスタイルを求めた時代には、自然を破壊し各種開発が進められました。
この開発に伴って緑、自然の喪失を招いてしまったことは否定できません。
近年、国民の自然志向は高まり、自然豊かな公園を望む声が多く聞かれます。

(キーワード)  ・自然豊かな公園

(空間構成)  ・みどり ・花壇

③高齢化社会の到来
現在日本は、過去に例を見ない高齢化社会を迎えようとしており、これから益々、保健福祉の
重要性が増加していくと考えられます。
福祉の精神は助け合い、触合いであり、その心を育むことが重要です。
本公園にもそういった場を提供することが必要です。

(キーワード)  ・コミュニケーション空間の創出

(空間構成)  ・水辺、ピクニック広場

2)導入施設の検討

①基本方針
『水辺ピクニック広場』、『ちびっ子広場』等に導入する施設の検討を行います。
導入施設の検討に当たっては、次のキーワードから連想される施設をリストアップします。

●余暇空間
●コミュニケーション空間
●環境共生
●みどり空間
●シンボル性

②導入施設

基本方針を踏まえ、主な導入施設を下記のように設定します。

●園路広場
・幹線園路、支線園路
●修景施設
・花壇、親水池、水性植物、モニュメント
●休養施設
・パーゴラ、ベンチ
●遊戯施設
・複合施設
●運動施設
・野球場
●便益施設
・駐車場、トイレ
●管理施設
・案内板、車止め

(3)ゾーニング、動線計画

最後に(2)の計画方針を踏まえ、具体的な内容を図面に表現します。
ここが、設計者の一番の醍醐味でしょうか。いいプランが描けたときは幸せです。しかし、なかなか思うようにはいきません。

1)ゾーニング
ゾーニングとは、施設や広場をどこに、どのくらいの規模で配置するかを大まかに決めることです。

2)動線計画
動線計画は、ゾーニングと平行して行う作業で、入り口と各施設を有機的に結びつけます。

3)幅員構成
動線計画で定めた園路の幅員を決定します。
管理用車両が入る園路で3m、2人歩き用の園路で2mにすることが一般的です。

(4)比較検討

(1)~(3)を踏まえ、3案程度の基本計画図を作成し、最終案を決定します。

最終案を基に、基本設計、実施設計が行われます。
これから先は、基本設計レベルの作業の進め方を解説していきます。

→最終平面図(PDFファイル)